おいおまえいま叫べここでほんとのことだけ誰にも聴こえないように。
締結弾き飛ばして枕木砕くか西も東も無呼吸断裂かそれはしらん結果もしらんそんなん見ずにかつ省みずに撒き散らせぜんぶぜんぶぜんぶ。
こっちはどんなだ。こんなだ。あからさまだ。右目細めて左目瞑っているかいらんか突きつけるのを待ち構えるのに聴きたくないのもほんとのまま。でも。
でも、きっと絶対渡してくれるんだろう、なぁ頼む、決壊させる推進力ぜんぶくれ。ぜんぶぜんぶ。くれ。
おいおまえいま叫べここでほんとのとこだけ誰にも聴こえないように。

パイ生地はサクサクして中身になかなか辿り着かないけど僕は全然かまわない。埋もれたっていい。サクサクしてれば皆笑うだろう。その世界はきっと平和だ。ユートピアもシャングリラも桃源郷もきっとそのもとはパイ生地だ。サクサクした向こう側のそのまたサクサク。その中で眠ろう。そして夢の中でアップルパイを食べよう。林檎の玉座にパイ生地の神殿。そこで僕は君に伝えるよ。「むにゃむにゃもう食べられないよ」

それってDで始まり4つコード、途中でG#m7-5はさみながらサビのキーはBmでだけどブリッジにF#を忘れないような展開です。それはそれで結構なのですがほんとのとこはDのキーだけでも十分です。3つコードで延々でも満足です。2つコードで永遠ならなおさらです。平凡ながらも続いて欲しいと思います。Dからゆっくり歩きながら螺旋階段を下りるようなベースに乗っかってどっか遠くを見ていてその先にある煙突が煙を吐いていれば思います。ありがとうって思います。

遠くから聴こえる鴫の鳴き声がまつわる話と小さな影を落としていったけどそれにかまっている暇のない僕はさっきの声が引き金で頭の中に再現されはじめたフラッシュバックを息を止めてやり過ごす。だって僕は走らなければならない。この国は北から南までいつもどこまでもずっと寒いから今走ってるここは見渡す限り白い地面と青い朝空があるだけだ。僕は殺風景の雪原に足跡をひとつだけ伸ばし続けるけどまっさらな雪たちに穴を開け滑らかを崩し続けてしまうことに罪悪感を感じたりしている暇なんてない。さっきも言ったけどだって僕はそんなことを気にしている暇なんてないし相変わらずやまない回想も後でことがすんだらうんと思い返してやるから少しだまってろ。優先順位ってやつがある。僕は僕の最優先事項のためならほかの事をどんなに蔑ろにしたってかまわないし最悪の罪を犯すのだって厭わない。それは僕にとって絶対に大切なことだ。揺るがないその存在は僕の今までとこれからを形づくるための接着剤のようなもんだから。今はとにかく走るんだ。南へ走るんだ。かすかにサイレンが聴こえる。その音もまた僕の中にフラッシュバックを引き起こす。屋根裏の窓からずっと向こうを眺め続けている。向こうには霞の街があって花時雨だと君は言う。僕も君が見つめている方角を見るけどそこにはただただ青空と遠くに小さく煙を吐く煙突が申し訳程度に佇むばかりだ。僕は「どこに?」と聞く様に君を見る。君は笑っている。君は妖だった。
いつしか地平線には煙突が見えはじめそれは煙を吐いている。サイレンが鳴り終わる。10時だ。

乾いた明るい声で歌うように泣いている子供の響き渡る昨日がしっとり濡れた森の中を歩き回って彷徨って疲れてふと立ち止まって省みるとそれはマルセリーノの歌だったと思ったところで迷って消えた。